インベスターZの主人公である財前孝史は、厳しい受験戦争を勝ち抜き道塾中学校に入学しました。孝史は入学後、野球部に所属をすることを心に決めていましたが、彼にはある宿命が待ち構えていたのです。それは、入試の試験をトップで通過した者には、道塾中で部活を選ぶことが許されず、投資部に入部することが義務とされているというものでした。
その投資部へ勧誘され、孝史はマージャンを初めて打つことになりました。実はこのシーンには大変重要な投資哲学が含まれていました。その哲学とは……。
誘惑に負けてルールも知らない物事を始めない
孝史はマージャンのルールも知らずに面白そうなゲームだと無邪気に参加してしまいます。もちろん、当初は本人から参加を強く望んだものではありませんでしたが、結果的には自ら参加することを選択してしまいました。当然結果は、上級生にカモにされ...
2時間目 分散投資と集中投資はどちらが正しいのか
自分のハマっているゲーチキを株式の投資対象として意識した孝史は、翌日、ゲーチキの株式に投資を行うことになりました。ただ、投資金額について明確な先輩のアドバイスをもらっていなかったこともあり、なんと一度に30億円ものゲーチキ株を大量購入してしまいました。なんとこの額は、孝史が自由に投資をして良いと言われている100億円に対して30%とかなり高い割合です。この取引を見た先輩部員は、リスクの高いもの低いものをバランスよく分散するリスク分散投資が投資の基本中の基本だと孝史を罵りました。このシーンの中心にある分散投資と集中投資はどちらが正しいのでしょうか? それとも……。
分散投資は無知?それとも賢明?
分散投資は、リスクヘッジではなく「無知に対するヘッジ」。この過激に聞こえるコメントは、かのウォーレン・バフェットの名言です。
確かにバフェット氏...
3時間目 身近なところに銘柄選択のヒントがゴロゴロ
投資部に入部した孝史は、初めての株式投資を行うことになりました。株式投資のルールを全く知らない孝史は、自分自身がハマっているゲーム会社に注目し投資を行うことを決断しました。銘柄はゲーチキ。
自分の知識の及ぶ範囲内で、身近な銘柄へ投資すること
今回の孝史の行動は、一見すると下調べのない無謀な投資のように見えますが、実は有名な相場格言に沿ったものでした。株式の初心者向けには「株式投資を始めるにあたっては、まずは身近な銘柄から」、「遠くのものは避けよ」、「乗りやすい馬を選べ」というのがあります。また、上級者向けには「相場のリズムが狂ったら身近な銘柄で立て直せ」などもあります。全ての格言が、あまり知らない、そして興味がない業界の株式に手を出すのは良くないということを教えてくれるありがたい格言です。
あなた自身の就職活動で考えてみてください。...
4時間目 投資はあせらず冷静にじっくりと待つこと
孝史は、道塾投資部へ勧誘され、マージャンを初めて打つことになりました。実は、マージャンと株式投資には多くの共通点があります。その中でもお伝えしたいのは、
勝負は冷静にじっくり粘って運が向くことを待つこと
ということです。
市場の中心に、あなたはいない!
孝史は、マージャンの最中に自分の“手”が揃うことにばかりを考えたために、大きなミス(損失)を犯してしましました。
マージャンは4人で卓を囲むゲームです。株式投資や外国為替市場は、全世界の投資家が参加する戦場です。マージャンの世界でも自己を優先するばかりに相手に付け込まれてしまうように、投資の世界でも独りよがりの都合は全く通用しません。もっと言えば、一投資家がいかに優れていようが市場をコントロールすることはできません。身をまかせるしかないのです。
まさに、孝史のセリフにあ...
5時間目 投資は歴史から学ぶのが王道!真摯に学ぶ
投資部での活動をスタートした孝史は、投資部の主将である神代圭介から投資には戦略が必要であることを諭されました。しかし、圭介は何をすべきか孝史には指示をせず、自分で考えろとだけ指示を出しました。孝史は、先輩部員の手助けで投資部の歴代OBが記した投資記録やノートを見ながら戦略を学んでいきますが、本日は歴史から学ぶ大切さをお伝えしたいと思います。
歴史は繰り返す!
孝史は、投資部の書庫に明治・大正・昭和・平成の時代の節目にどのような投資が行われたか詳しく記録されている貴重な教材があることを教わりました。孝史は、これからこの教材を通じて多くのことを学んでいくのですが、世界の投資家や富裕層も同じように歴史や記録から投資戦略の多くを学んでいたようです。
アメリカの投資家ジェシー・リバモアは、1929年の暗黒の木曜日に空売りで1億ドル(現...
6時間目 歴史に裏付けされた投資の格言を侮るな!
孝史が投資部主将から入部の勧誘を受けている最中に、同じ部屋で先輩部員たちは黙々と相場と向かい合っていました。その後、株式相場、為替相場ともに動きが少なくなり、この後も動きが出る材料も少なそうであった為、部員たちは「今日は商売にならないから閉店」と投資を止めて麻雀に戻るのでした。
投資部の目標は年率8%で資産運用すること。相場の動きが少ないからといって麻雀で遊んでいる余裕はあるのでしょうか。
高い目標を実現するには、毎日24時間相場にべったり向かい合う必要があるように思われますが、実はこの行動はある格言により正当化されたものでした。
休むも相場
「休むも相場」。大変有名な投資格言です。通常、株式投資を始めてみると分かりますが、投資しない期間を作るのは容易ではありません。それは、人間が欲望にまみれているからです。 “得をしたらもっ...
7時間目 株式投資に必勝法はあるのか?
孝史は投資部主将の圭介と雀卓を囲んでいました。その時、孝史は圭介から上昇しているゲーチキの株を今後どうするつもりかと聞かれました。孝史としては、ゲーチキ株はこれからますます上昇するという自信もあり、まだまだ保有し利益を広げていきたいと考えていると答えましたが、その考えを圭介は一喝。「株は法則でやれ」と決まりに従って売買することを指導しました。その一番初歩的な法則として「利食いと損切り」を教えてもらうのですが、この法則は本当に株式投資の必勝法なのでしょうか。
利食いと損切り
圭介は続けます。いかに利益を上げるか、いかに儲けるか、そして目標の利益を得るには、「「自分の一切の感情を捨て、自分の上に法則を置け。法則が神!」。圭介は、部員の蓮にその考え方に基づいた「利食いと損切り」を孝史に教えるように指示しました。
蓮は、利食い、損切り...
8時間目 ビギナーズラックに慢心するな
孝史は投資部主将の圭介と雀卓を囲んでいました。その時、圭介からビギナーズラックの話を聞きました。神様は思い切って一歩を踏み出した人にちょっとだけご褒美をくれるそうです。さて、なぜ投資の世界にビギナーズラックが存在するのでしょうか?
ビギナーズラックが多い、に科学的根拠はない
投資の世界では、よくビギナーズラックという言葉を聞きます。投資における勝率は50%です。ですから、初心者の最初の投資は成功するという科学的な根拠は実はありません。しかし、世間ではこのビギナーズラックとういう言葉はかなり広く認知されています。それはなぜでしょうか。その背景は、最初の投資で利益を得た投資家は他人に自慢をする傾向があり、“ビギナーズラックだね”など周りの人に冷やかされながらも周りの人の記憶に定着します。一方最初の投資で損失を出した人は周りに伝えること...
9時間目 買う前から売る時をイメージしろ
孝史は、投資ノートで「株は入り口にあらず出口にあり」という格言を見つけました。先輩である蓮は、この格言の大事さを具体的に説明してくれるのですが、これは投資だけにかかわらず世の中のルールとまで言っています。本当に株式投資には大事な格言なのでしょうか。
株式投資に出口戦略が必要な理由
株は入り口にあらず出口にあり。この言葉が意味するのは株式の出口戦略の重要性です。特に、投資の初心者は購入する際に、銘柄選択やファンド選択に多くの時間を使いますが、購入後はいずれ上がるだろうと安易に放置する傾向にあります。そして、目標の値段も曖昧に設定します。これでは確実に利益を積み上げることはできません。利益を積み上げるには、株式投資をする前には、売却目標価格をきっちりと設定することです。
このように説明していると、あなたは出口戦略の設定などは...
10時間目 国策、中央銀行に逆らうな!
ある日、孝史は社会科の野々村先生から道塾創立者の藤田一族について話を聞く機会を得ました。野々村先生によると藤田一族は藤田商店を経営しており、その藤田商店は乳牛を扱い巨額の富を得たというものでした。でも、なぜ藤田商店は乳牛を扱うことにし、巨額の富を手に入れたのでしょうか。
国策に乗る。商売の掟。
1868年に藤田商店は開業しました。当初は油の小売業を営んでいましたが、ほんの1年で廃業し乳牛の販売に乗り出し大成功を収めました。商売を変えた理由は、「天皇陛下が毎日2度ずつ牛乳を飲む」という新聞記事に加え、明治政府が富国強兵を掲げ大きな体づくりの一環で牛乳を推奨していたことから、これからますます乳牛の需要が拡大すると先読みしたからでした。上手くその流れに便乗したことが成功の要因です。このように国策、つまり国が目指す方向に乗り、大き...
11時間目 バブル崩壊に巻き込まれないためには?
孝史の祖父である龍五郎は100年以上に前にバブル経済という言葉を使っていました。そしてバブル経済を統計学的は、急激に上昇したものは必ず急降下して元に戻る、これは自然の道理と説明し、バブル破壊の危機を避けるには頂点の手前で売り抜けることが鉄則だと言い切りました。そもそも何故バブル経済は発生し崩壊するのでしょうか。
バブル経済はかならず崩壊する
「バブルがいつ崩壊するか予測するのは誰にもできない。ただ、過去のバブルは例外なくはじけている」。この名言は、カナダ出身の経済学者で経済界の巨人といわれたジョン・ケネス・ガルブレイスのものです。龍五郎のみならず多くの経済学者がバブルは崩壊すると断言しています。
では、何故バブル経済は発生するのでしょうか。実は発生の理由ははっきりしないことが多くあります。また、何をもってバブル経済と定義す...
12時間目 株はボロ株を見ろ(前編)
ある時、投資部キャプテンの神代から「株はボロ株を見ろ」と言われましたが、孝史は「良い株を探さないと儲からないじゃないですか」と反論しました。その時の神代の返した言葉は、「お前は金を掘りに行くヤツか」というものでした。少しわかりにくい神代の発言には2つの真相が秘められていました。その真相とは。
金を掘りに行くのでは儲からない
真相の1つは、“社会のブームを利用して稼ぐこと”の必要性を言っています。1848年頃に米国はゴールドラッシュで沸いていました。多くの資産家が誕生したと言われています。ただし、スコップを持って掘りに行った人間で金持ちになった人はいませんでした。彼らはブームに乗せられていて稼ぎに利用された人々です。一方、ゴールドラッシュで儲かったのは、スコップを作って売った人、宿や飲食を提供した人、発掘された金を運ぶ鉄道会社を創業し運...
13時間目 株はボロ株を見ろ(後編)
ある時、投資部キャプテンの神代から「株はボロ株を見ろ」と言われましたが、孝史は「良い株を探さないと儲からないじゃないですか」と反論しました。その時の神代の返した言葉は、「お前は金を掘りに行くヤツか」というものでした。前回は、社会のブームを作ることで財産を築くことをご案内しましたが、今回は現代で使えるもう一つの鉄則をご紹介したいと思います。
世間のボロ株と神代のボロ株の相違点は
もうひとつの真相の1つは、ボロ株の中にはお宝銘柄が紛れていて大きく収益を上げることが可能だというものです。今は向かい風の企業でも、いずれ追い風が吹くことを先読みできれば、大儲けすることができます。
さて、神代のいうボロ株の定義を整理しましょう。神代がここで言うボロ株は、今後、マクロ経済、円安・円高、または社会構造の変化などによりメリットを享受できる株、また...
14時間目 世界最強の頭脳集団ヘッジファンド(前編)
世界最強の頭脳集団ヘッジファンド
投資部の定例会議に初めて参加した孝史は、道塾投資部の運用スタイルはヘッジファンドだと説明を受けました。そしてキャプテンの神代から「運用と我々の投資は違う」と伝えられ、年金基金や金融機関のリスクを分散した資産を減らさないことを目的とした運用と、絶対リターンを追求するヘッジファンドの投資とは異なるという説明を受けました。ヘッジファンドとは、そしてその凄さとは。個人投資家が成功するために欠かせないヘッジファンドのアプローチを丸分かりにします。
絶対収益を目指すヘッジファンド
前回、ボロ株の探し方をご紹介しました。実は、個人投資家以外でこのボロ株へ投資をする投資家はヘッジファンドのみです。他人のお金を預かっている年金基金や通常の投資信託などは基本的にボロ株への投資を行えません。でも、ボロ株に投資...
15時間目 世界最強の頭脳集団ヘッジファンド(中編)
道塾投資部が目指す運用スタイルはヘッジファンド。ヘッジファンドの運用方法の多くは謎に包まれていますが、ヘッジファンドの運用スタイルには個人投資家がそのまま使える投資の鉄則と知っておくべきその投資スタイルが隠されています。
少し難しく思うかもしれませんが、今回は、その謎の運用スタイルの1回目を紹介しますので、是非投資のヒントにしてください。
多岐に渡る投資戦略
「前回、ヘッジファンドがボロ株へ投資をできる仕組みをお伝えしました。では、実際にヘッジファンドはどのような投資戦略で絶対収益を実現しているのでしょうか? 代表的なヘッジファンドの戦略は幾つかありますが、ここでは大きく4つの戦略に分類したいと思いますグローバル・マクロ、イベント・ドリブン、アービットラージ、ロング・ショートの4戦略」があります。
ロング・ショー...
16時間目 世界最強の頭脳集団ヘッジファンド(後編)
道塾投資部はヘッジファンドを目指しています。個人投資家に参考にしてほしい投資の鉄則がヘッジファンドには隠されています。今回は、その謎の運用スタイルの2回目です。
多岐に渡る投資戦略
前回、ロング・ショート戦略をお伝えしました。今回は一番スケールの大きなグローバル・マクロ戦略をご紹介します。
グローバル・マクロ戦略
グローバル・マクロ戦略はキング・オブ・ヘッジファンドと呼ばれるほどで、ヘッジファンドの代表選手といっても過言ではありません。グローバル・マクロ戦略をとるヘッジファンド数は全体の10%未満と数は少ないものの、その運用総額は最大と言われています。つまり、一つ一つのファンド規模が非常に大きいと言えます。
さて、グローバル・マクロ戦略で一番有名な運用者は、ジョージ・ソロス氏です。彼の運用するヘッジファンドは運...
17時間目 就活生は株を買え!
就活するときに何を基準に選んでいるのか
町田浩子は倫子の姉で就職活動を控えた大学3年生。就活で色々な悩みを抱えています。そんな時に、妹からは株式投資を勧められ、就活セミナーではカリスマ講師が「就活生は株を買え」」と絶叫。この二人のコメントの真意は。
就活生の企業分析と投資家の企業分析は異なる
カリスマ講師がここで就活生に対して株を買えと言った本当の意味は、就職活動を乗り切るために企業分析が必要であると言っているだけではありません。企業をどのように分析するか、そのセンスを磨けという意味です。
企業分析の象徴的な例として、就活生の判断基準は、従業員数が多い、海外拠点が多い、初任給が他社より1万円多い、就職人気先企業ランキングが上位、など企業価値とあまり関係ない点を最優先しないことが挙げられます。
少し決算書の知識のあ...
18時間目 決断とは切って離すこと
投資部のキャプテンである神代がテニスでテニス部の選手を破りました。その勝利の秘訣はと聞かれると、「決断とは切って離すこと」」、また「なにかを成し遂げるとき、成功をするときは、やらないことはやらない、切って離すとはっきり決めたときだ」とスティーブジョブズの「何をしてきかたと同じぐらい、何をしてこなかったかを誇りたい」といった名言を交えながら勝因を力説していました。その真意は?
投資にも断捨離は必要
数年前から断捨離がブームになっていますよね。実は投資にも同じことが言えます。投資の世界はリスクを排除すべく万全の準備で投資をすべきだと思われています。確かにこれは間違いではありません。しかし、投資の世界にはファンダメンタルズ分析、チャート分析など様々な投資分析方法があります。特に、チャート分析においては、両手では収まりきれないほどの分析が存...
19時間目 健全な自己否定で目的を達成しろ
地獄の合宿に参加した孝史は屈辱の連続でくたくたになりました。それでも、参加者全員のサポートもあり、合宿の最後には投資にとってすごく重要な自己否定力に気がつきました。孝史が自ら発言した「健全な自己否定力を身につけ、常に手段ではなく目的を達成する」という言葉の真相は?
健全な自己否定力とは
株式投資をして予想がことごとく当たり続けると、自分が世の中心であるような錯覚に陥ることがあります。でも、株式投資で利益を上げるには特殊な能力が必要なわけではありません。株式投資では、ルールや基礎をきちんと理解し、鉄則を守ることが出来れば比較的に誰でも利益を上げることができます。にもかかわらず、人間はおろかな生き物で、成功を重ねると自分が常に正しいと思い込んだり、妙なエリート意識を持った傲慢な人間になったりするものです。孝史は、「このような人間は...
20時間目 一番遠くの宇宙から世界の通貨を見ろ
ついに藤田家の財産をめぐって孝史VS慎司の3番勝負が始まりました。第一弾の対決はFX。Foreign Exchangeの略で外国証拠金取引のことです。各国の為替レートの変動を予測し運用を行う為替取引の取引手段の一つです。1998年から開始された比較的新しい資産運用です。プロの投資家ばかりでなく、会社員や主婦からも人気を集めている外国為替取引FXとは?
為替の市場は世界で一番スケールが大きい
外国為替市場の一番の特徴は、為替や債券などの他の金融市場に比べ圧倒的な取引量がある世界最大の市場であること。どのくらい大きいかといえば、外国為替の1年間の取引高は、世界の株式市場の取引量の約20倍、世界の貿易金額の約60倍と、間違いなく世界で一番大きな取引規模です。ちなみにその取引量は約1000兆ドル(12京円=120,000兆円)と言われていま...