13時間目 株はボロ株を見ろ(後編)


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ある時、投資部キャプテンの神代から「株はボロ株を見ろ」と言われましたが、孝史は「良い株を探さないと儲からないじゃないですか」と反論しました。その時の神代の返した言葉は、「お前は金を掘りに行くヤツか」というものでした。前回は、社会のブームを作ることで財産を築くことをご案内しましたが、今回は現代で使えるもう一つの鉄則をご紹介したいと思います。

世間のボロ株と神代のボロ株の相違点は

もうひとつの真相の1つは、ボロ株の中にはお宝銘柄が紛れていて大きく収益を上げることが可能だというものです。今は向かい風の企業でも、いずれ追い風が吹くことを先読みできれば、大儲けすることができます。

さて、神代のいうボロ株の定義を整理しましょう。神代がここで言うボロ株は、今後、マクロ経済、円安・円高、または社会構造の変化などによりメリットを享受できる株、または
現在は投資家から見放されているもののキラリと光るコアビジネスを持った株式を指しています。

一方、世間で使われるボロ株という言葉は、今後大きく収益が期待できるようなコアのビジネスを持つこともなく、また業界も明らかに斜陽である、もしくは財務的に資金を調達する手段もないぐらい追い込まれている、決算報告に虚偽があり証券取引所から継続的に指導を受けているなどの先行きが暗いことを理由に株価がボロボロの状態にある株式のことを指しています。

さて、先ほど神代のボロ株とは、株価が安価で放置されているけれども、今後の経済見通し、これから社会で注目を集める可能性のある株式であると書きましたが、具体的な例を上げて見てみましょう。

1)今は円安で推移しているけど、どうも3年後には円高になりそうである。だから、3年後には、現地生産、販売などの海外比率の高い会社の売上・収益が拡大し注目を集めていそうなので、今のうちに、株価は低迷しているけども先読みしてその株へ投資をしてみよう。

2)現在の日本の歳出における成人病対策の費用が10兆円と巨額である。今の財政状態を考えると絶対にこの歳出を継続することは難しくだろうから、民間企業が政府に変わり成人病対策を牽引することを政府が後押ししそうである。だからこそ、今は安値で放置されているけど、今のうちに安い成人病関連株を青田買いしておこう。

このように、現在は低い評価で放置されている株式を買うことの面白さを神代は伝えたかったのだと思います。ただ、このように安価で放置された株式を発掘し、投資を行うことはそれほど簡単なことではありません。

その理由は、ボロ株の株価は定量的に分析しても将来の価値を算出できないからです。現時点では、低い収益力、伸び悩む売上と成長率など投資をできるレベルにはなく、ましてや将来的の見通しを数字にすることも容易ではないため、なかなか投資を行えません。

それでもボロ株からお宝株を発掘したいとなると定性的な分析能力が必要になります。これは、投資家の展開力と言われている投資能力です。展開力とは、ある出来事から展開していく様を幾重にも重ね、最終的なイメージまで落とし込み投資を判断する能力のことです。私たち個人投資家はこの展開力を身につけることで、今後大きく株価が上昇するボロ株を発掘することができるようになります。

尚、通常の投資信託やファンドでは、このボロ株に投資を行いません。受託者、つまり投資家からお金を預かっている立場であるため、展開力だけで投資判断を行うことができません。そうなると、自分でボロ株を発掘するか、ヘッジファンドを通じて投資をするしかボロ株から利益を上げる方法はありません。次回は世界最強の投資集団ヘッジファンドについてお話をします。

今日の鉄則!
世間のボロ株と神代のボロ株を間違えるな。投資をして良いボロ株は、将来性があり、今は安く放置されている株である。
→自分でボロ株を探すと大きく収益を確保できる。しかし、投資信託ではそれが実現できない。自分で展開力を身につけるしかない。