4時間目 投資はあせらず冷静にじっくりと待つこと
孝史は、道塾投資部へ勧誘され、マージャンを初めて打つことになりました。実は、マージャンと株式投資には多くの共通点があります。その中でもお伝えしたいのは、
勝負は冷静にじっくり粘って運が向くことを待つこと
ということです。
市場の中心に、あなたはいない!
孝史は、マージャンの最中に自分の“手”が揃うことにばかりを考えたために、大きなミス(損失)を犯してしましました。
マージャンは4人で卓を囲むゲームです。株式投資や外国為替市場は、全世界の投資家が参加する戦場です。マージャンの世界でも自己を優先するばかりに相手に付け込まれてしまうように、投資の世界でも独りよがりの都合は全く通用しません。もっと言えば、一投資家がいかに優れていようが市場をコントロールすることはできません。身をまかせるしかないのです。
まさに、孝史のセリフにあった“目先のことを考えてあれこれ動くと相手にやられる”、“冷静にじっくり粘って運が向くのを待つのだ”という思考は、実は投資の世界では鉄則なのです。
にもかかわらず、多くの投資家は自分の考え方が相場の中心にあるように考えがちです。でもそれは間違っています。基本編でお話をしましたが、株式市場の年間取引高は50兆ドル(6,000兆円)です。この相場の中心になるのは相当な資金量が必要です。つまり、自分が中心になれないということです。
20世紀前半にウォール街で活躍した「ウォール街のグレートベア」の異名をもち大変活躍した、かの有名なジェシー・バリュモアという投資家が名言を残しています。
「良いアイデアが相場で大きな利益を上げる秘訣ではない。最も重要なのは、絶好な時が来るまで静かに座っていることだ」というものです。
株式市場は相場の流れに支配されています。その大きな流れを支配しているのは人間の“欲”です。その流れを大きく変える方法は限られています。例えば、金融政策の変更、財政政策の変更、地政学リスク、政変などです。そのキッカケがなく、一個人が流れに抗っても戦える手段は限られています。まさに、“座して待つのみ”です。
そして、座して待ちながら覚えておいて欲しい日本の有名な相場格言があります。それは、「相場は相場に聞け」。自信を持って自らが下した判断だからとしても、自分の考えにこだわり過ぎ、または間違いを認めないようでは、大きな痛手を受けることになる。相場の流れは、相場だけが知っている。素直に相場の声に耳を傾け従うべきだという格言です。
つまり、株式における極意は、株式相場が下落局面でも、場の流れに耳を澄まし、じっくりそのときを待ち、場の変わり目を感じ取って勝負に回る、一方、株式相場が上昇局面では、浮かれすぎることなく場の流れから過熱感を感じ取り、何かを感じ取ったら速やかに静かに誰にも気づかれずフェードアウトすべきといったことでしょうか。
また、「相場は明日もある」という映画の題名のような格言もあります。なにも感じ取れないときは明日まで見送りが鉄即ですね。
大きな流れが来るまで、そして乗るまでじっくりと待つ。
最近の株式市場は良い流れです。良い流れの時に投資を開始するのは鉄則です。