16時間目 世界最強の頭脳集団ヘッジファンド(後編)
道塾投資部はヘッジファンドを目指しています。個人投資家に参考にしてほしい投資の鉄則がヘッジファンドには隠されています。今回は、その謎の運用スタイルの2回目です。
多岐に渡る投資戦略
前回、ロング・ショート戦略をお伝えしました。今回は一番スケールの大きなグローバル・マクロ戦略をご紹介します。
グローバル・マクロ戦略
グローバル・マクロ戦略はキング・オブ・ヘッジファンドと呼ばれるほどで、ヘッジファンドの代表選手といっても過言ではありません。グローバル・マクロ戦略をとるヘッジファンド数は全体の10%未満と数は少ないものの、その運用総額は最大と言われています。つまり、一つ一つのファンド規模が非常に大きいと言えます。
さて、グローバル・マクロ戦略で一番有名な運用者は、ジョージ・ソロス氏です。彼の運用するヘッジファンドは運用利益率が年率30%を30年以上継続した伝説的な人物です。ちなみに彼の運用するヘッジファンド、クォンタムファンドは30年で260倍になりましたので、もし、100万円預けていれば2億6000万円になった計算です。
また、ソロス氏の実績は実に派手です。ソロス氏は英国の通貨であるイギリスポンドの通貨切り下げを見越し総攻撃を仕掛け、果敢に戦いを挑み見事に切り下げに追い込みました。その結果、「イングランド銀行を破った投資家」といった称号を得ました。称号だけではありません。収益もすごく、この戦いで得た利益はなんと総額2500億円、またその陥落の最後のたった1日で1200億円を稼いだそうです。
グローバル・マクロとは
さて、グローバル・マクロとは、その名前の通りマクロ的な視点(巨視的)でグローバル(世界経済)を見て、そして非常にアグレッシブに頭脳的に獲物を探し巨額の利益を得る戦略です。
特に、既存の価値観や定説が崩れそうな瞬間、それによる影響を受けるルールを素早く察知して、自らが変化の触媒(カタリスト)やきっかけになることで利益を上げることを得意にしています。これを、ものすごく簡単に言うと、ルールが変わらざる得ない状況を見つけたら、その変化を促す役割を自ら買って出ることで一番美味しいところを持っていくということです。
ソロス氏は名言を残しています。「私はあるルールに基づいてトレードするのではない。ゲームのルールが変わる瞬間をめがけてトレードを仕掛けるのだ」。まさに、変化を収益に変える天才です。
さて、個人投資家自らがルールを変える立場になることは不可能だとしても、このような世の中の変わり目に便乗して収益を狙うことは可能です。例えば、アメリカの金利が上がることで大きなお金の流れが変わる、地政学リスクといわれる政治的な不安定や治安の悪化で人の流れを変わる、中国の景気減速が東南アジアや日本への大きな影響を与え世界的に景気が悪くなる、などの世の中の変わり目は身近にゴロゴロしています。この流れを見逃さないことが、個人投資家にとってグローバル・マクロ戦略です。
現代は、情報化社会で情報に溢れていますが、それに惑わされることなく、物事の本質を理解し、大局を見極めるグローバル・マクロの視点を持つことで大きな収益チャンスを掴みましょう!
グローバル経済をマクロ的な視点で見ること。これこそが、収益のチャンスです。
時代の変わり目は収益の機会と前向きに捉えましょう。