10時間目 国策、中央銀行に逆らうな!


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ある日、孝史は社会科の野々村先生から道塾創立者の藤田一族について話を聞く機会を得ました。野々村先生によると藤田一族は藤田商店を経営しており、その藤田商店は乳牛を扱い巨額の富を得たというものでした。でも、なぜ藤田商店は乳牛を扱うことにし、巨額の富を手に入れたのでしょうか。

国策に乗る。商売の掟。

1868年に藤田商店は開業しました。当初は油の小売業を営んでいましたが、ほんの1年で廃業し乳牛の販売に乗り出し大成功を収めました。商売を変えた理由は、「天皇陛下が毎日2度ずつ牛乳を飲む」という新聞記事に加え、明治政府が富国強兵を掲げ大きな体づくりの一環で牛乳を推奨していたことから、これからますます乳牛の需要が拡大すると先読みしたからでした。上手くその流れに便乗したことが成功の要因です。このように国策、つまり国が目指す方向に乗り、大きなうねりに便乗できると大きな利益を得ることができるのです。

特に有名なのが戦争需要ですね。戦争による軍需産業の繁栄は繰り返されてきました。米国では特に戦争により景気回復を狙ってきた歴史があります。

さて、現在の日本でも国策があります。それは、安倍政権の経済政策であるアベノミクスです。
当初、アベノミクスは日銀と政府が一体となり「異次元の金融緩和」を行いました。目的は、お金の流通量を多くすることで景気を浮揚させることです。その一つの手段としてETFを購入することなどで株価をつりあげ、株式保有者の資産が増える(資産効果)ことによる消費性向の改善などの良い連鎖を目指しました。また、これに加えて公的年金資金の130兆円の株式運用比率も12%から25%へ引き上げ約17兆円もの資金が株式市場流入させ、さらに株価の上昇を目指しました。結果、株価は上昇し2000年以来15年ぶりに日経平均株価が2万円を突破するなど、まさに安倍政権の目指した結果となりました。

さて、国策に関して有名な格言があります。「国策に売りなし」です。これは、国が積極的に推進している政策、産業は売ってはいけない(買うべし)という意味です。

では、日本でアベノミクス以外にどのような国策があるのでしょうか?その国策を先に見つけ出した投資家こそ、藤田家のように巨額の富を手に入れることができます

例えば、地域創生によるカジノ関連でしょうか。それとも、人口減少の中でロボットの役割に期待できるロボット産業、少子高齢化に関するビジネス、全国に広がる空き家問題に関する不動産業、成人病を抑制する健康産業など、ミクロで見ると色々な産業にチャンスがあるように見えます。このような成長産業の中から政府が一番力を入れ、しかも持続的に取り組むビジネスに注目するといいかもしれません。

また、世界的にはどのような国策があるでしょうか。例えば、ユーロから離脱しそうになったギリシャに最終的には手を差し伸べたEU、株価が大きく下落した火種を必死に潰した中国など、国が本気になればやはり救えるということを見事に見せつけました。

古今東西問わず、国策の凄さを感じます。国策にはまさに売りなしです。

今日の鉄則!
国策は売りなし。国の方針は大きな流れ。その流れに素直に流される力と発想が大切。
→ 株式市場には大きな流れがあります。その大きな流れですら断ち切るパワーを持つのが国策です。国策に背くのは得策ではありません。