ある日、孝史は社会科の野々村先生から道塾創立者の藤田一族について話を聞く機会を得ました。野々村先生によると藤田一族は藤田商店を経営しており、その藤田商店は乳牛を扱い巨額の富を得たというものでした。でも、なぜ藤田商店は乳牛を扱うことにし、巨額の富を手に入れたのでしょうか。
国策に乗る。商売の掟。
1868年に藤田商店は開業しました。当初は油の小売業を営んでいましたが、ほんの1年で廃業し乳牛の販売に乗り出し大成功を収めました。商売を変えた理由は、「天皇陛下が毎日2度ずつ牛乳を飲む」という新聞記事に加え、明治政府が富国強兵を掲げ大きな体づくりの一環で牛乳を推奨していたことから、これからますます乳牛の需要が拡大すると先読みしたからでした。上手くその流れに便乗したことが成功の要因です。このように国策、つまり国が目指す方向に乗り、大き...