19時間目 健全な自己否定で目的を達成しろ
地獄の合宿に参加した孝史は屈辱の連続でくたくたになりました。それでも、参加者全員のサポートもあり、合宿の最後には投資にとってすごく重要な自己否定力に気がつきました。孝史が自ら発言した「健全な自己否定力を身につけ、常に手段ではなく目的を達成する」という言葉の真相は?
健全な自己否定力とは
株式投資をして予想がことごとく当たり続けると、自分が世の中心であるような錯覚に陥ることがあります。でも、株式投資で利益を上げるには特殊な能力が必要なわけではありません。株式投資では、ルールや基礎をきちんと理解し、鉄則を守ることが出来れば比較的に誰でも利益を上げることができます。にもかかわらず、人間はおろかな生き物で、成功を重ねると自分が常に正しいと思い込んだり、妙なエリート意識を持った傲慢な人間になったりするものです。孝史は、「このような人間はしっぺ返しを食らう」と言っていますが、私もまさに同感です。投資の世界では、傲慢な人間は必ずしっぺ返しを受けてきました。
正義心だけでは相場では勝てない
傲慢な人間は、なぜしっぺ返しを食らうのでしょうか? それは、傲慢になると、なぜだか偏った善意や正義感で投資を判断しようとする傾向があるからだと思います。例えば、一般の投資家は、子供に大人気のゲーム会社の株価がぐんぐん上昇しているのを見ると、業績を見て買うか買わないかだけを判断材料に株式を購入します。一方、
傲慢になった投資家は、その企業の業績の良さは認めながらも、偏った正義感を振りかざし、子供の健全性を妨げる企業だと決め込んで株価が下がるほうに予想して大損をするケースなど見られます。
株式市場は手段ではなく目的のためにある
株式投資は冷静な判断で行動をとらねば損をするという鉄則を理解しておきながらも、なぜそのような行動をとるのでしょうか。普通の投資家は、株式市場は利益を上げる場という意識で利用しています。しかし、傲慢になった投資家は、自分の正義感を表現する場として株式市場を利用しています。まさに、手段として株式市場を使っているわけです。
株式市場は、企業を株価で評価し、健全に売り買いされることを目的とした市場です。そこに、自己表現の手段として株式市場に入り込むとしっぺ返しを受けるのは当然ですね。
現代は、情報化社会で情報に溢れていますが、それに惑わされることなく、物事の本質を理解し、大局を見極めるグローバル・マクロの視点を持つことで大きな収益チャンスを掴みましょう!
どんなに投資がうまくいっても慢心することなく健全に自己を否定する力を身につけましょう。
自己否定力が身につくと、相場に正義感や慢心を持ち込むことなくなり、大きな損失を避けることができます。