25時間目 あなたは円高派、それとも円安派?
投資部の中で一番FXに詳しい富永先輩から手ほどきを受けている孝史は、“円安は絶対に良くない”と断言されました。しかし、孝史は納得がいきません。その証拠に最近の円安が、日経平均株価の上昇につながり景気回復に良いように影響を与えていると反論しました。どちらが正しいのでしょうか?
日本の景気が良くなると円は高くなるの?安くなるの?
あなたは日本の景気が良くなると円は高くなると思いますか?それとも安くなると思いますか?いつも経済新聞を読んでいるような人は、“景気が良くなると、その国の評判が高まり、その国の通貨も強くなるのではないか”と答えるかもしれません。でも、経済学のテキストを読んでみると、“景気が良くなると、その国の人の消費意欲が増すことで輸入する量が増え、輸入した代金を支払うために円を売り、外貨を買うため円安になる”とも書いてあります。どちらが正しいのでしょうか?実は、両方とも正解です。実際の為替の動きは教科書が教える理論だけで説明することはできません。
円安派、円高派
海外旅行が大好きな人が、“私は円高が嬉しい。何故ならば海外に旅行に行った時に買い物が割安になるから”と言っています。このこと自体は確かにそうだと思います。しかし、一方でデメリットもあります。円高になると、海外の人から見ると日本での買い物がすごく割高になるわけです。もちろん宿泊費も割高に感じるようになります。その結果、外国人旅行客の爆買いもなくなり、日本への観光客の数も減少します。もし、先ほど出てきた海外旅行好きな人が、日本でお土産屋さんを経営している人だったら笑えませんね。会社が赤字になりそうです。旅行先では買い物が楽しいかもしれませんが、会社が立ちいかなくなったら悲劇です。
また、輸出関連の会社に勤めている人がテレビのインタビューで“円安は大歓迎。輸出業は円安で儲かりボーナスが増えそう”と回答しているのを見たことがあります。ボーナスが増えること自体は素晴らしいことですが、実はボーナス以外ではデメリットのことあることを忘れていそうです。円安になると、ガソリン価格は高くなり、それ以外にもワインやチーズなど多くの輸入品が高くなります。つまり、生活の物価が上昇する要因になるわけです。考えてみてください。ボーナスの増加より、生活費が上昇したら、円安がメリットとは言えませんよね。
このようなことを考えると円安派とか円高派とか簡単に決めることは難しそうです。
円安、円高のメリット、デメリットをいつも考えておきましょう。経済への影響まで考えることで、株式投資の判断にも使えます。
為替は教科書通りに動きません。経済の大きな流れを把握し、投資に活かしましょう。