24時間目 クマと牛はどっちか強いのか?
孝史は徐々にFX取引に慣れてきました。慎司との勝負も熱を増してきましたが、孝史の投資はなかなかパッとしません。ある時、孝史の投資スタンスがブルだから慎司には勝てないと指摘されました。それは、慎司の投資スタンスがベアだからと。ブルだとかベアだとか動物の名前が出ていますが、これは一体どういうことなのでしょうか。
ブル=牛、ベア=熊
牛の角をイメージしてください。角は上に向いて伸びていますよね。つまり、このように相場が上昇していることをブル相場といいます。そこで、上昇することを期待して買う立場の人をブルといいます。また、相場の見通しが強気の時に“僕はブルだと思うよ”と言ったりもします。
次に、クマの手を想像してください。爪が下を向いていますね。また、クマが敵を襲うときは、手を高い位置から低い位置に振り下ろします。この仕草が、相場が下がる模様に似ていることからベア相場と言われるようになりました。
ご存知の方もいるかもしれませんが、NYのウォール街にはベアのオブジェが名物になっています。これは、ウォール街をはじめとした金融街ではブルは大歓迎、ベアは敬遠されているからです。
本当に強いのはどっち?そして本当の敗者は?
さて、孝史と慎司の勝負、つまりブルとベアではどちらが本当に強いのでしょうか。相場の格言を見ながら考えてみましょう。「買いは家まで、売りは命まで」という格言があります。これは、株式に限定してのことですが、買いの最大のリスクは「投資額まで」、売りの最大のリスクは「無限」であることから出来た格言です。以前にもお伝えしましたが、投資のリターンはリスクと比例する関係です。つまり、売りの最大リスクが「無限」であることから分かるように、利益が大きく出る時は、ブルよりベアの方が大きいと言えそうです。ただし、今回はFXの投資なので最大のリスクは「投資額まで」となりますので、どちらが強いとは断定できません。勝負は互いの腕次第といったところでしょうか。
ここで、ウォール街の面白い格言をご案内したいと思います。「ブルもベアもときどき儲けるが、ただしホッグだけは決して儲かることはない」。この格言には解釈の仕方が色々とあるようですが、私のいちばんしっくりくる解釈をご案内します。“ホッグ”とは豚の貯金箱のことです。この豚の貯金箱はアメリカでは欲張りの象徴と言われています。この欲張り豚は、お金が入ってくることを待つだけの日和見主義です。つまり、ブルやベアのように一生懸命、上がるか下がるかを考えもしない日和見主義(評論家)には、儲けるチャンスは一生転がり込んでこないということだと解釈しています。
ベア(売り)はブルよりリスクが大きく、リターンも大きいプロの投資家が好む投資スタンス。ブルでコツコツ勝ちを積み上げれば、ベアに圧勝することも。
投資で資産を築いた歴史的な人物の多くはベア派。コツコツと上昇と急落する相場で、共に対応できる知識と経験が必要です。