28時間目 あなたは“真なる価値”を見極められるか?


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投資家として一流になりたいのであれば価値のあるもの以外に金を払うな

 孝史は、藤田家当主の孫、藤田金七の玄孫の美雪に図書館で初めて出会いました。美雪は、投資経験が孝史より豊富なことを自慢し、孝史を投資の素人とバカにしています。しかし、孝史は、美雪が「フランスの高級時計を自分へのご褒美として身につけている」という発言を聞いて投資家として三流だと言い返してやりました。
 そして、「投資家として一流になりたいのなら、自分の中で絶対に価値のあるもの以外お金を払うべきじゃない」と付け加えました。その真相は?

本当に価値のある会社とは

 発言の真相は、日頃から価値のあるものにお金を払っている人は、良い会社を見極める力が磨かれるということです。みなさん、株式投資を行う前にその会社がどのような経営をしているか確認してみましょう。例えば、会社の規模に合わない広告を繰り返していたり、無意味な自社ビルを新築したり、効果の薄いイベントのスポンサーを務めていることなどの無駄に目がつく人は、日頃から価値のあるものにお金を払っている人だと思います。

 では、具体的に価値のある会社を探し出すコツをお教えします。バフェット氏の有名なポリシーにある「愚か者でも経営できるビジネスに投資をしなさい。なぜなら、いつか必ず愚かな経営者が現れるからだ」という目線で誰でも経営できる会社を探し出すのもいいかもしれません。
 他には、 ROE(Return on Equity)という株主から与えられた資本を使ってどれだけ効率的に利益を稼ぎ出しているかという投資家目線の指標で判断するのもいいかもしれません。
 または、ビジョナリーカンパニー(偉大な企業)という不朽の名著などに記されている、「業界で卓越した企業であること」、「私達が暮らす社会に消えることのない足あとを残していること」、「当初の主力商品(サービス)のライフサイクルを超えて繁栄していること」などの基準で企業発掘をしても面白そうです。

買い物と株式投資の不思議な関係

 さて、時計の話が出ましたので買い物と株式投資の意外な共通点をご紹介します。それは、新品は価格が割高であることが多く、中古品は適正な価格で取引されていることが多いというものです。
 新品の価格には、販売促進費や広告費などの多額の費用が含まれています。新規上場株は未知なる期待感が含まれて価格が割高になる傾向があります。新築マンションなどは良い例えです。素敵な展示場、ため息の出るゴージャスなパンフレット、毎週のように入る広告チラシなど全ての代金が販売代金に加えられているのです。一方、中古マンションにはこのような多額の費用はかかっていません。そのため、中古マンションは本当の価値に近い価格に落ち着きます。
 また、新規上場株も同じです。例えば、IT関連企業というだけで上場時の値段が高くなる傾向があります。これはIT企業に対する大きな期待感が100%以上盛り込まれたものだからです。一方、既に上場している株はそのような未知の期待ではなく、業績や将来の見通しへの期待で評価されるようになり、本当の価値で売買されようになります。

今日の鉄則!
投資を行う場合は、価値の高いものだけにお金を払うようにしましょう。
→ 新品には特に本来の価値があるか精査が必要です。一方、中古は適正価格で購入できたり、意外な掘り出し物に出会う可能性もあります。